一秒と一日と百年と千年の違いが判る?
寝てれば長さなんて判んないよね。
人を思う気持ちも同じだよ。うん。


「お帰りなさい」と久しぶりに帰ってきた鳳凰の聖闘士になぜか女神さまは
極上な笑みでお出迎えしてくれた。
いつもなら皮肉とイヤミのオンパレードが、これである。
流石にちょっと気味の悪いものを感じた。

「みやげはないぞ」
「紫龍なら裏庭よ」
「・・・」話の飛躍に目眩を覚えるとはこのことである。
一体、俺が何をしたというのか。

それでも素直に裏庭にいってしまうのが、哀しいかな男の性。
―――別に紫龍に会いたいわけじゃない。
ちょっと、裏庭の桜が見たいだけだ。

 思わず言い訳がましい一輝兄さんであった。
だが、城戸邸の大桜はそんな思惑を無視したかのように、
堂々と美しく、鮮やかに咲き誇る。

出先で何度も思い浮べたほどの、いや、あのデスクィーン島で
さえよぎった桜が、時を感じさせずに一輝の前に現われる。
故郷はいいな、とふと思った。

「桜を見にきたんだぞ」言い訳がましく宣言してしまう。
別に星矢は何も言ってないのだが。
ここの空気に気が弛んだとしか思えない失態であった。
 
 だが、大桜の下から歩いてきた星矢はそんな彼を一瞥するだけで、
フッと溜め息をついただけであった。
「紫龍なら下だよ」ぶっきらぼうに。

「紫龍に会いにきたんじゃないっていっているだろう」
「どーせお前もお嬢に言われてきたんだろう」
 それは確かにそうなのだが。

あれっと思った。いつもの生彩が星矢にない。
「どうしたんだ、お前?元気がないじゃないか」
それには答えず、もう一度溜め息。

「そりゃなあ、ここまでくると万策つきるもんなあ。神頼みだよ」
それから、くるっと一輝の方をみて今度は真剣な瞳で彼を見た。
「お前だって起きるとは思わないけどな、起きなきゃ困るんだヨ、
バカヤロウ!根性出せよ」

 いまいち、把握できない。
ぐすぐすいいながら、屋敷の方にいく彼をみて一輝は春先だから
気をつけなけれぱなあ、と変な関心をしてしまった。

それにしても、舞い散る桜のなんと幻想的なことであろう。
日本人に生まれて良かったと思うのはこんな時かもしれない。
その下に紫龍はいた。舞い散る桜の下、花づもりをベットにして。

ちょこんと、大木に寄り掛かって眠りこけるその姿は、
まるで妖精かお姫さまといったところ。
そう、普段起きている時には、ヘンに隙のない可愛げのない奴なのだが、
こうして安らかな寝顔を見ていると、自然と微笑みさえ漏れてしまう。

そう思う間も降りしきる花びらが、紫龍を幻想界へと導いているようであった。
どっちにしても、こんな光景は滅多にお目にかかれないものである。
辺りをうかがってしまう。

罪悪感がかすめたのは一瞬のこと。つぎの瞬間、眠り姫の唇に、
王子の熱い吐息があった。

「なあ、本当に、”キス”なんかで目覚めるのか」
沙織の執務室で星矢がイライラと語りかける。無理もない。
この一週間、まともに紫龍を見ていないのだ。

「大丈夫よ、星矢。古来眠りこけるお姫さまは王子によって再び
生を受けるって法律で決まってるんですもの。
一輝がくれば一安心よ」

桜の木に住む小鬼に魂を抜かれて一週間。眠り姫になってもう七日。
紫龍に、目覚める予兆さえない。時はちゃんと時計通りに動くが、
(眠り姫参照)いかせん紫龍が動くと動かないでは―――。

時計が止まっていたって、世界が破減したって紫龍が動いたほうがいい。
「だけどよ、いろいろためしたじゃん。結局、誰も駄目だったじゃないか。
誰も紫龍を目覚めさせられないじゃんか」

「そうね、そうだわね」
 彼女の脳裏に失敗した簡易王子達の姿が甦る。(あえて、誰とは言わないが)
「でも大丈夫よ、龍と鳳風だもん」

「・・・」このあま、何考えて生きているんだ。
星矢は頭痛を覚えずにはいられなかった。
「そういう発想に間題があるとは思わないのかよ!」

「二人のくちびるは、この世に二つとない黄金の鍵と錠前だから、
きっと鍵があえばなんとかなるわ」
「なんだそりゃ」

「だって、運命の女なんですもん」
「お前なあ・・・止めなさい、そのネタは」
「それでもなきゃ、愛の力よ」

窓辺を見ていたお嬢の眼がほら見たことかと開かれて、
それからガラス窓をパタンと閉めた。
武士の情けである。

「だからな、不意うちでそういう事したのは謝ると、いうとろーが。
おい、機嫌なおせ、紫龍」辺りに聞こえる声で恋人の機嫌取りに励む一輝を、
これ又その姿を見ないように足早に、それでも決して逃げずに、
一直線に歩く紫龍が叫ぶ。まるで時を感じさせずに。

「だから、そうじゃないってぱ。え一い、夕飯の買い物に行くだ
けだって言っているだろう」
記億はないのだが、ひどく皆に迷惑をかけていたような気がする。

極め付きが、久しぶりの一輝のドアップだ。照れるなというほうが、無理というもの。
だから、一輝の差し出した手を思わず振りほどこうとした。
振り離そうとする手を思わず強く剛く握ってしまった。手を握ってしまった。

赤く見えるのは夕焼けの所為だけじゃない気がする。らしくない行動に出た、
一輝はそれでも手を放さずにこう言った。
「一緒行くわ」

「えっ?」
「又、寝ると困るだろう」意味さえ知らずにつぶやいた言葉が、
恐ろしいほど呪縛をもつ。なぜか、言うことを聴いたほうが良い気がした。
ゆえに手は振り解けない。

「買物行くだけだぞ」
思わず、声が小さくなってしまう。
なぜか、一輝の顔が見られなかった。

土手の上を、そうして、ゆっくりと。赤い夕日を浴びながら、
手と手だけは恥ずかしい程しっかりと。
たまには、こういう日があってもよいよね。


                                     ―――桜闇。

 

読み返したら、何だか埋めたくなってしまったが、この時期を逃すと、
永遠にお蔵入りしそうなので〜まあ、おなぐさみに。
何にしても若い!!びっくり!!意味不明!!!
ちなみに書いたこと、覚えてませんでした。
記憶から、抹殺したかったのね。(^▽^ケケケ

だから、多分としか云えないけど、桜の木により掛かって眠るのは
映画「ラム・ザ・フォーエバー」のラムちゃんだと思う。
それから、黄金の錠前と鍵は斉藤由貴の「運命の女」という詩集から。
しばらく斉藤由貴らぶらぶモードが続きます。

にしても、さおりん、今とちっとも変わらない(>_<)

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