「天国の在処は死んだ人だけが判るんだよ」と、
賛美歌を歌うように云い切った奴がいた。
なんだいそりゃあ、怪しげな新興宗教と一緒じゃないかと反発を覚えると、
少し考えて、「そうだな」と、頷いた。
頷いてはいたが、別に否定するわけでも肯定する理由でもなく、
答えはちゃんと、そのうち氷河にも判るよと云っているみたいだった。
俺はそーゆー時のあいつが大嫌いだった。
あの人はキャンドルの小さな灯り。
窓辺に揺れて
凍てつく夜
静かに天国の内に誘い込む
天の国の住人
時々 遠い目をして 空を見上げる
まるで知らない所にいるように
風に吹かれている
背中にある透明の羽
そして、あいつは小さな小猫を沢山かっていた。
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