気が付くと氷河は自分のことを抱き枕にしている。頭だけを引き寄せている感じなんて、
カワイイ方で、ヒドイ時なんてがっちり食い込まれたりしている。暑くて、寝苦しいというのではない。
氷河の小宇宙のおかげで、(聖闘士してはおとがめを食らいそうだが)ぴたっとくっついてても、
快適な体温に包まれている。が、やはり気になってしまう。
氷河の方は苦しくないのかと思って、顔を上げると安心しきっている。子供みたいだなあと、本人に云ったら、
むくれて────違うか、これは自分以外の反応だ、落ち込んで自分に触れてくることも躊躇しそうだ。

(────それはそれで、いいかも)

 別に氷河とむつみ合うのがイヤなのではないが、たまには何もしないでゆっくりと眠りに付きたい。
その点から云えばこの状態はアンミンから程遠い状態であるが、紫龍は氷河の毛布を離せないでいた。
なにせ彼はやっと眠りについてくれたのだから。

 一度触れると際限が無くなるというか、止まらないと云うか、乱暴ということはないのだが、
何時までも肌に触れて離れようとしない。温もりだけを求めている。
が、そうしているうちに、もう一度という羽目になる。もちろん、眠いとか、明日があるからとか、
云えば断れるのだが、すると氷河がひどく哀しそうな顔をする。で、つい付き合ってしまう。
その様を見て────  もちろん、ベットの上じゃなくて、ソファで膝枕をしている時だったが、瞬が耳打ちした。

「不安なんじゃないの?」
「えっ?」
「紫龍がどっかに行っちゃいそうでさ」
「甘えんぼなだけだろ」
 あの時は軽くいなしてしまった言葉が甦る。

……不安、なのかな。どうしてだろう?触れば届く、微かな囁きさえ聞こえる所に居るのに──── 
動くと起きてしまうから、あの時と同じように、そのままの状態で振り返ってみる。
────でも、そうか。恋人の、まだ慣れない響きだが、心臓が止まる、リストカット、目を潰して、
他の男と心中し掛けて、吹っ飛ばされて、漸く自分に墜ちてくれた。
 聖闘士だから、仕方がないと云ってしまえばそれまでだが、紫龍自身は氷河に関して、
その手の心配をしたことをないことが思い当たる。

 無いというか、しなくてすんだのは、先に倒れ傷ついているのはいつも自分の方だからか。
では、自分がその立場にいたら、どうするのだろうか?紫龍はちょっと目を瞑って考えてみた。
ケツロンは直ぐに出た。

────考えつかない、どうしても。

 多分、自分は何一つ失いたくないのだ。だから、誰よりも早く危険を察知し、
皆をそこから遠ざけようとする────。 だが、同じことが繰り返されれば、
紫龍が何をしようとしているか、既にばれているだろう。
それでも、自分を先に闘わせてくれるのは、力量を信じているのではなく、
紫龍の意志を尊重してくれているからだろう。氷河だって同じように、自分を守りたいはずなのに。

────もしかして、ガマンさせていたのかな?今まで。

紫龍にとってはそれは初めての発見だった。
お母さん、兄弟子、氷河が愛する人は彼を護る為に命を落としていく。
愛の最後の形態は失うことと同義語のように。にも関わらず氷河が自分を見送ってくれるのは、
逆に遠ざけてくれたのだ。愛しいモノを失うという焦燥、守りきれない苛立ち、
そして、又一人に立ち戻るかも知れない不安、哀しみ。
全部、紫龍が想像しか出来ない痛みを氷河は一人で耐えてきたのだ。
守っているつもりで、守られていた、かもしれない、もしかして、自分の方がお兄さんと思っていたが、
氷河の方が大人なのか?すごく恥ずかしくなってしまった。思いこんでいた自分が。
そんなことを考えていたから、氷河の目がぽかっと開いた時、紫龍はびっくりした。

「わっ」
「……眠れないのか?」
「あっ、いや、その〜」ちょっと迷ったが、紫龍は正直に答える。
「いや、お前に、その迷惑かけていたんだなって思って」
「お前がか?────その、どの辺り」
「どのって……、まあ、イロイロと」
「イロイロね……」

 紫龍は曖昧に答えた。なぜなら、自覚しても紫龍は同じように飛び出していくからだ。
氷河の元で大人しくお姫様を演じられない以上、このワダイは危険領域だった。
懇願されても自分は変えられない。だから、これ以上は詮索無用の意思表示に微笑みを浮かべる。
これも甘えの一種かなと思ったが、氷河になら許して貰いたかった。
案の定、彼はニヤリと笑って、矛先を自分の有利な方へ持っていく。

「でも、俺の方が掛けているんじゃないのか、メイワク」
「そうか?」
「だって、こんなことするから」

 唇を奪われる。するりと入ってきた舌を追いかけようとしたら、逃げられてもう一度、唇に熱が点る。
構えようとした瞬間、熱源はすぐに浮遊して、項を張って、耳たぶの後ろを強く噛まれる。

「それでもか?」
「……うん、だけど、俺も、その、嫌いじゃないから、、そのぉ、別にコレはメイワクの内に入らないかも……」
「本当に?」

 氷河の目が輝く。普段は忘れているけど彼は全てを沈黙に凍てつかせる氷の騎士。
 紫龍はしまったと思ったが、改めて氷河を見つ直すと、いつになく真剣な瞳に、コクンと頷いてしまった。

「じゃあ、何をしてもいいんだな」
「────例えば?」
「イロイロ」

 それは先刻、自分が使った手だと思ったが、負い目の所為か、反論は出来ない。控えめな主張はするが。

「ヘンタイでSMチックじゃなければ、まあイイかな」
「────お前、俺のことをどうゆう目で見ているんだ」
 それでも言質とはいえ、紫龍の了解を取れた氷河は明るかった。

────その時が来たら、泣こうが恨まれようが、彼女を裏切っても、お前を連れて帰る。

 だが、今はそんな火種は放っておいて、手の掛かる恋人が気が変わらない内に、
騎乗位を────ヘンタイでもSMでもないはずだを画策する氷河であった。





20030815、ぶっちゃけて云うと、夏コミのフリーブック「もぐもぐ」のカタワレでっす。
ちなみにもう一方はシュラでうそちんの2.5(;´Д`)
その後、サイト関連のお友達にザンショミマイがてらupしようとしたが、何かへこんでいて、
それ所じゃなくて、季節をまたいだ。。。。
理由は忘れているんですけどと書いて思いだした。残業、多かったんだよね、夏は。

お話しの自体は、、氷河は紫龍をがっちり抑えこんで寝る→紫龍、起きる→でも、氷河の寝顔を見ている
うちにまあいいかという三段階を、それだけじゃ短いから何かごてごて考えたら、イタイっぽい話しに。。。。。。
うそちんが落ちたので、急遽作成が決まり、なんだかんだと時間が無くて、会社でアトガキを打ってました。
(前半は未だヒマだったんだよ、会社)

その足で、版下作成して、コピーは駅のコンビニでやったのも今となってはイイ想い出←にしておこう。
知人には絶対に逢いたくないけど。(^▽^ケケケ

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